長崎に落ちたラジオゾンデの一個が、九帝大に持ち込まれて、その調査をするグループに偶然にも私は入った。野田助教授がリーダーで、実施現場の指揮は入江富士夫講師であった。
当時出校していた学生数名が集められたのである。
当時大学には、関門海峡や博多湾出入り口に投下された感磁気式魚雷が持ち込まれ、調査された残骸が存在していた。
ゾンデは原爆の爆発圧力や温度や電磁波などの性能を計測するために、原爆と同時に落下傘つきで投下された計測装置であった。
ゾンデは不発弾ではなく、計測器具であることは解っていた。分解して電源部を引き出すと、石綿で包まれた中から、乾電池やコンデンサーなど出てきた。
配線のビニール電線は、当時日本には無く、細い配線に驚いた。
受信部分の機器の内容はすぐには不明であったが、トランジスタはまだない時代で、小型の真空管が沢山並んでいたのに驚いた。当時はラジオ用のでっかい真空管じか知らなかったからだ。
わたしが直接計測したのは乾電池の電圧だ。電池は3V~6V程度と思ってメータをつないだら、針がふりきれた。あわててスケールを切り替えると110Vであった。当時日本にない積層乾電池であった。コンデンサーも小型の電解コンデンサーで、日本ではまだなかった。
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