2023年2月24日金曜日

江崎:大河内家

 (財)福岡県メディカルセンター 保健医療福祉研究機構 研究員

 九州大学医学部付属病院、医療情報部教授
                   
大河内 二郎



祖父は昆虫学の第一人者、ご先祖には杉田玄白につながる名門。
まだ若いころ、現在の介護保険制度につながる医療情報を、コンピュータソフト化する作業を、私の大学院生やOBのソフト企業と共同で作業したことを思い出した。
 

2023年2月23日木曜日

堀内 豊秋 日本初の落下傘作戦



 堀内 豊秋(ほりうち とよあき、1900年明治33年〉9月27日 - 1948年昭和23年〉9月25日)は、日本海軍軍人体操研究者。最終階級は海軍大佐熊本県熊本市出身。海兵50期。

太平洋戦争開戦直前に横須賀鎮守府附第1特別陸戦隊司令に就任。日本初の落下傘部隊として、1942年(昭和17年)の1月11日にはオランダの統治下にあったインドネシアメナドへの奇襲降下作戦(334名)を指揮し成功を収めた。これが日本初の落下傘降下作戦である。

この際、鎖で足を繋がれて逃げられない状態で闘ったインドネシア人兵士がメナドの6基のトーチカを守っていたが、それを命じたオランダ陸軍歩兵大佐F・W・M・ティウオン(F・W・M・Tiwom)は、この日本軍の落下傘降下作戦の際に逃げた先のメナドの飛行場で命乞いをして捕虜となっている。

当時オランダの支配は過酷で、水田を潰し輸出用のタバコをインドネシア人に作らせていた。また水田を潰したことにより大量の餓死者をインドネシア人は出していた。その事と、メナドには地元住民の間に、「国家国民が危機に陥らんとした時に北方の空より翼が生えた白馬に跨った獅子達が救援に舞い降りてくる」とのジョヨボヨ伝承が相まって、堀内達の落下傘部隊は絶賛して迎え受けられる結果となった。

この伝説と落下傘部隊の行動は、後に海軍省製作の国策アニメ、『桃太郎 海の神兵』でも描かれた。

このあと堀内は3ヶ月間ここにとどまり、現地人兵士を故郷に帰し、オランダが課した塩税を廃止し、逆に塩の作り方も教えた。また家ごとに救急箱も配った。堀内とその部隊がバリ島に移動するとき、落下傘降下地区のカラビアンとラングアン地区の住民数百人が、別れを惜しみ60キロの道を歩いて、メナドまで堀内の部隊を見送りに行った。


戦後、堀内の部下がオランダ当局からBC級戦犯として裁判にかけられることになったが、堀内は元部下の潔白を証明すべく行動した際に、オランダ当局から巣鴨刑務所に勾留されてしまう。そして、堀内は翌1948年(昭和23年)1月にオランダ人虐待と村民に毒を盛って30人を殺害した罪で起訴され、メナドに送致された。

堀内の部下の裁判も、堀内が起訴された裁判も、日本軍に降伏して捕虜となった元オランダ軍のティウオン大佐によるものであった。彼は戦後、捕虜収容所から出るとセレベス島BC級戦犯を裁く裁判長を買って出、ティウオンの部下を検事役にし堀内の部下であった旧日本軍兵士12人に死刑を宣告した。堀内はその罪の潔白を証明する証言者であったが、堀内自身も勾留され、1年後に前述の罪で起訴され裁判にかけられた。

ティウオンが裁判長となった堀内の裁判は、戦中に堀内の部隊が村民に配布した薬箱が毒薬配布に仕立てられた事がのちに分かるが、それ以外の証拠がないままオランダ人9人の一方的な証言だけで死刑が求刑された。その際、堀内の弁護人の井出諦一郎が証拠の無い一方的な証言だけの裁判に対してその意義を問うと、裁判長のティウオンの職権で、判決を前に井出はメナドから強制退去させられた。また地元住民からも堀内の身の潔白を訴える嘆願書が出されていた。

同年5月、ティウオンは堀内に死刑判決を下し、同年9月25日、堀内はメナドにて銃殺刑に処された。戦犯裁判に関してはその潔さに心打たれたオランダ当局は堀内を海軍大佐としてオランダ軍の儀仗隊付での葬列を遇したとの逸話もある[4]

処刑から5年後の1953年(昭和28年)4月29日、戦争犯罪人指定解除を受ける。墓所は熊本県熊本市浄行寺靖国神社に祀られている。

私の叔父狩野毎はこの日本初落下傘部隊の輸送機隊長として働いたが、その後の輸送機活動中に戦死した。



2023年2月22日水曜日

高齢者は集団自決せよの論議(改訂版)

 


2019年2月9日、グロービスが主催した社会保障制度改革のパネル討論で、成田悠輔は「『葉隠』の「武士道というは死ぬことと見つけたり」という一節を例示して、高齢化し老害化しないために『人は適切な時期に”切腹”すべし』と発言し、「皆さんのようなリーダーが次々と切腹するような日本社会になれば、それは単なる社会保障政策ではなく、最強の『クールジャパン」政策になる 』と語った

2021年12月17日放送の『ABEMA Prime』にて、高齢化について「唯一の解決策ははっきりしている」として、「結局、高齢者集団自決、集団切腹みたいなのしかないんじゃないか。僕はこれを大真面目に言っていて、やっぱり人間は引き際が重要だと思う。別に物理的な切腹ではなくて、社会的な切腹でもいい。過去の功績を使って居座り続ける人がいろいろなレイヤーで多すぎる。これがこの国の明らかな問題だ」と語り、スタジオのアナウンサー専門家を驚かせた。

2022年
  • 2022年の元日、YouTubeチャンネル「日経テレ東経済学」での西村博之との生配信中に、成田は「(集団自決は)まったくメタファーではなくて、三島由紀夫とかリアルにそういうことをやって、しかもそれが日本人の死に様の1つの象徴みたいな感じで。
  • 国内外でも結構受け入れられていて、『カッコいい』ってことに三島由紀夫は今でもなっている訳じゃないですか。普通にファッションとして、『ハラキリ』は成立するんじゃないかと思っているんですよね」と発言した。
  • 2月1日、YouTube動画で堀江貴文と対談し、「高齢者は老害化する前に集団切腹すればいい」とする発言の真意について聞かれ、世代交代を本気で考えようと提案した。また、高齢化が進む日本社会の解決策として、安楽死の解禁・強制」などにも触れた。
  • 2月28日、「みんなの介護」のインタビューで、成田が『葉隠』の「武士道というは死ぬことと見つけたり」という一節を持ち出して、『人は適切な時期に”切腹”すべし』と発言していることについて真意を聞かれ、「あれは『言ってはいけない』ことでした。しかし、古い格言にあるように『言ってはいけないとされていることはだいたい正しい』とも思っています」と述べた。そして、「”切腹”や”自決”は議論のためのメタファーで、肉体的なものだけでなく、社会的・文化的なものも含めた色々な形があり得ます」と述べ、切腹には大きく分けて3種類のレイヤー「過激な三島由紀夫がやったような文字通りの切腹のレイヤー」「過激さを抑えた尊厳死の解禁や一定以上の延命措置への保険適応を見直すというレイヤー」「穏健な世代交代で次の世代に活躍の場所を譲る仕組みをつくるレイヤー」があるとした。
  • 成田は、過激さを抑えたレイヤーの中で、海外の「日常生活動作が一定以下になった場合は公的医療保険の適用を弱め、公的介護保険に徐々に移行する仕組み」を紹介している。このインタビューで、成田は、母親の介護に月に数百万円かかったが、高額療養費制度で10万程度に収まった日本の恵まれた医療制度と、この制度により医療費が膨張していることについて触れている。
2023年
  • 1月16日、文春オンラインの記事で、著述家の山本一郎は「弁護士の渡辺輝人が発言を再発掘したことで、倫理的に成田悠輔さんはマズい人なのではないかと問題提起を始めた事件」だとし、「社会保障の行き詰まりが日本の国富を維持する上で障害になっていて、もはや高齢となって社会に富を生み出すことのできなくなった老人をどこまで社会が包摂し生かしておくかという根源の議論」であったが、キャンセルカルチャーの行動を誘発してしまったと書いている。
  • また、成田の主張の骨子は「新自由主義的な経済思想と人工知能などテクノロジーとを融合しながら、政府DXを進めたり合理的な規制改革をしたりして、経済改革をしましょう」であり、人権や社会保障を充実させて最大幸福の日本を求める政策とは決定的に相性が悪いと述べている。
  • 1月18日、ニューズウィーク日本語版のコラムニスト藤崎正人は、「本人やこの発言を聞いた周囲がどこまで高齢者の『集団自決』を本気で考えているかはともかくとして、この発言を『メタファー』として安易に捉えるべきではないだろう。組織や社会の新陳代謝の問題はそれはそれで考えればよいが、一方でエイジズムと呼ばれるような年齢差別は解消するべきだ、というのが世界の流れで、主に雇用に関する差別をなくすよう、各国で立法化がなされている。『集団自決』発言はそれに逆行するだけでなく、特定の年齢層への憎悪表現ということもできるだろう」と述べている。
  • そして、「社会に余裕がなくなっていく状況下で、特定の属性をスケープゴートにするような言説は、すぐに憎悪表現に至るようなエスカレートをたどる。最悪の場合、表現に留まらず、実際の排斥へと至るかもしれない」「ナチスが苦しい生活を強いられているドイツ人の味方を標榜してユダヤ人を排斥したように、世代間格差論者も若者の味方を標榜して登場している」と述べた。
  • 1月19日、ダイヤモンドオンラインで記者の窪田順生は、若者世代が貧しいのは、高齢者が社会の第一線に居座り続けているからだ、という声が多く、高齢者への「ヘイト」が高まっている中で、権威的な肩書きを持つインテリが、「日本の未来のため」「高齢者は集団自決せよ」のような主張すると、世論が一気に「尊厳死解禁」に傾く事態も起こり得るとした。そして、民主主義下の戦後に「優生思想」を反映した非人道的な「優生保護法」が、「日本の未来のため」というインテリの主張で成立したことや、戦争で「日本のため」に集団自決した人々などについて忘れてはいけないと述べている。
  • 2月12日よりアメリカの『ニューヨーク・タイムズ』を皮切りに、多数の世界各国のメディアが一連の「集団自決」発言が取り上げ物議を醸した。
  • 2月12日、海外での報道の発端となったニューヨーク・タイムズ(NYT)では、成田が「集団自決」「安楽死の義務化」について言及したことを伝え、「彼はアメリカの学会でほとんど知られていないが、彼の過激な発言は日本のソーシャルメディア上で、高齢化による経済停滞に不満を持つ何十万の若者のフォロワーを獲得している」「日本では多くのインターネットプラットフォームやテレビに登場し、雑誌の表紙やお笑い番組、エナジードリンクの広告に登場するなど、ますます人気が高まっている」「彼のツイッターのプロフィールは『口にしちゃいけないって言われてることは、だいたい正しい』である」「成田悠輔はしばしば、西村博之堀江貴文などX世代扇動家と一緒に登場する。西村は事業家で、インターネット上で最も有害なアイデアが生まれるオンライン掲示板4chanを運営している」「東京大学の社会学者本田由紀教授は、彼の発言を 『弱者に対する憎悪 』と表現した」などと紹介した。また、小学生に集団自決説について聞かれた際、成田はホラー映画「ミッドサマー」で、高齢者が崖から飛び降りて自殺するシーンを解説し、「それが良いことなのかどうか答えるにはもっと難しい問題だが、それが良いことだと思うのなら、そういう社会を目指して頑張ればいいのではないか?」と語ったと報じた。記事では、さらに成田が安楽死について「将来的に義務化される可能性もある、議論になるはずだ」と、他のインタビューで語ったことを紹介した。また、成田が「発言は 『文脈を無視して引用されたもの 』であり、主に、ビジネスや政治において、高齢者を指導的地位から追い出して、若い世代にスペースを確保しようとする流れが高まっていることを指摘した」と述べていることを伝えた。NYTはこれらの発言について成田に質問し、成田は「日本では、政治、伝統産業、メディア、エンターテイメント、ジャーナリズムの世界で、同じ大物たちが長年にわたって権力を握り続けている」「『集団切腹』『集団自決』という表現は『抽象的な比喩』であるが、潜在的なネガティブな意味合いについて、もっと注意深くあるべきだった」「反省して、昨年からこの言葉を使うのをやめた」と回答した。また安楽死については「(自発的、非自発的を問わず)複雑で微妙な問題であり、私はその導入を提唱しているわけではない」「もっと広く議論されるべきだと思う」と回答した。NYTの記事では、成田が「比喩」と説明していることへの批判も紹介し、「安易に『比喩』として受け止めるべきではなく、成田のファンは『年寄りはもう死ねばいい、社会福祉は削ればいいと思っている人たち』だ」と指摘するニューズウィーク日本語版の藤崎正人の記事や、麻生太郎が財務大臣時代に「老人は早く死ね」と発言したこと、退職者を政府主催の安楽死に誘うディストピア映画「PLAN 75」と姥捨て山の民間伝承、優生保護法下で医師が知的障害精神疾患遺伝性疾患を持つ何千人もの人々を強制的に不妊化させていたこと、相模原障害者施設殺傷事件などの日本の差別問題を紹介し、成田の発言がそれと似た感情を呼び起こすのではないかと心配する声を伝えた。NYTはイェール大学にも質問を送ったが回答がなく、成田の指導教官の1人でだったヨシュア・アングリスト博士は、「成田は『オフビートなユーモア感覚』を持つ『才能ある学者』」であり「学者として非常に有望なキャリアを続けるのを見たい」「私が一番心配するのは、彼が他のことに気を取られていることで、それはちょっと残念」と回答した。
  • 2月13日、デイリー・メールは、日本の出生率の低下と急速な高齢化について伝え、「彼の発言は、人々を怒らせただけでなく、Twitterのフォロワーは569,000人を超え、共感を呼んだ」「彼の発言は、1月にソーシャルメディアが発見し、社会学者が『弱者への憎悪』と宣言したことで、改めて注目された」と報じた。同日、FOXニュースは、NYTの記事へのTwitter上の反応を紹介し、アイルランドリムリック大学のスティーブン・キンセラ教授は、「記事を読んで見出しはこう変えるべき。自身のキャリアアップを望む若者は、あえて世間を煽る言葉を使い、ちょっと注目を集めればすぐに撤回する」とツイートし、ワシントンD.C.に拠点を置く米国政府に影響力を持つ保守シンクタンクヘリテージ財団」のエコノミスト、ピーター・セント・オンジは「教授というのは、若者の心を形成するのに最悪の人物だと思い始めている」とツイートしたことを伝えた。2月14日、ドイツのシュピーゲルは、「成田がカルト的な地位を獲得したこの発言は、2021年末になされたと言われているが、それが明るみに出たのは、ほんの数週間前だと言われている」「成田の主張は、本人が弁明するようにあくまで『比喩』である」と伝えた。
  • 2月13日、Smart FLASHは、東京大学名誉教授であるロバート・キャンベルのツイート「高齢者に集団自決とはあくまで問題提起であり『抽象的な比喩』とする成田悠輔氏。太平洋戦争優生保護法やまゆり園の大量殺人事件もメタファーとでも言うのでしょうか。国内メディアより先に米国NYTが深掘りして『提起』を問うこと自体、日本の、メディアの問題です」を紹介し、成田への批判と日本国内のメディアへの疑問を伝えた。
  • 2月16日、FRIDAYの記事は、「言葉が独り歩き状態で海外でも大きな物議になっている」とし、成田が持論として高齢化する政治家やタレントに事あるごとに「引退するべきだ」と発言していることや、田原総一朗と共演した際も「世代交代が必要なので、先陣をきって田原さんが引退しては」と発言したことを紹介した。また海外で報道されていることへの反応として、ひろゆきが「比喩で言った話が本気で言ったかのように伝言ゲームが始まってる状況」とツイートし、アメリカの銀行で15年間アナリストをしていたユーチューブチャンネルを運営する花子は「比喩でも言ってはいけない言葉があるし、集団自決なんて言ったら今は中国のウィグル人ジェノサイド問題もあるのに国際問題に発展するのがなぜわからないのだろうか?」とツイートしたことを伝えた。同日の女子SPA!の記事では、NYTなど海外メディア記事へのTwitter上の反応を紹介し、欧米では、「権力による人間の仕分けが合法的な殺人を可能にしかねないとの危惧」から、「安楽死の適用を拡大しているカナダを思い浮かべる人が多かった」と分析した。イギリスの週刊誌『スペクテイター』の編集者スティーブン・ミラーは、NYTの記事は成田への批判ではなく、世論を誘導する問題提起だととらえていた。また、経済的合理性からの提言が、生命の尊厳や人権を踏みにじっているのではないかとして、ナチスによるホロコーストなどの悲惨な過去を思い起こす人も少なくなく、「ネオリベポルポトの爆誕」というコピーもツイートされていたという。そして、記事の最後では、成田の「口にしちゃいけないって言われてることは、だいたい正しい」について、「『正しいと思っても、口にしちゃいけないことはある』と悔やんでいるのでしょうか」と述べている。

その他のコメント:
「高齢者集団自決」論で話題の成田悠輔について探っています。気に食わんと思っていたヤツですが、悠輔殿は、柄谷行人主催の反社会運動組織NAMに中学生の頃出入りしていたそうです。俄然、シンパシーを感じております。
「高齢者集団自決」論について、軽薄なる今日びの社会思潮を持ち出して烙印を押させれば、テロ幇助のほかの、何モノでもありません。

家族の核家族化と少子高齢化が進んだ日本では、高齢者が分離され、断層化されている。



 現在のように、技術革新が速い時代には、老人が保有している伝統的な技術や知識の価値がなくなってしまって、昔のように高齢者の意見が尊重される機会がすくなくなった。
だから「高齢者は」のひとことで、一律に自決せよという論議でなく、社会から分離されたり、病気の進んだ人たちを考慮した議論をすべきである。としての

世界的に見れば、先進国では少子化だが、後進国では人口爆発がおこっており、100億人に近づいている。世界問題としての解決が必要だ。

側脳室前角の拡大

側脳室(そくのうしつ、英語:lateral ventricle)とは、左右の大脳半球の内部に対称性に存在する脳脊髄液(cerebrospinal fluid、以下CSF)で満たされた一対の空間(脳室)である。

側脳室を満たす脳脊髄液は、内側の室間孔(interventricular foramen、またはモンロー孔、Monro foramen)を通じて第三脳室に流れ出る。(側脳室は左右一対あることから、これらを第一と第二に数え、それに続く脳室は「第三脳室」「第四脳室」と呼ばれている。しかし左右の側脳室のどちらかを第一脳室と呼ぶようなことはなく、あくまで「右側脳室」「左側脳室」である。)

側脳室は大脳半球の形に沿って、(外側から見たときに)Cの字型に広がっている。その背側部分は中心部と呼ばれる。

中心部から吻側に延びた部分は前角、中心部の尾側から急なカーブを作って吻側腹側に延びた部分は下角という。中心部と下角の境界あたりでは、後頭葉に入る後角が出ている。

各部分の壁になっているものを次に挙げる。なお、各部分の区別は厳密なものではないから、対応する大脳葉もおおむねその位置にあるといった程度に理解されたい。

  • 前角は前頭葉の中にある。背側から吻側にかけて脳梁がかぶさっている。腹側から外側にかけては尾状核が面し、前角は丸みのある尾状核を内側背側から抱き込む覆いのような形になっている。内側は透明中隔を隔てて左右の側脳室が隣り合っている。透明中隔の腹側端には脳弓があり、脳弓の吻側端は折れかえった脳梁の先端近くでモンロー孔を残して終わっている。モンロー孔は内側腹側の第三脳室に開く。
  • 中心部は頭頂葉の中にある。吻側の前角から続いて、背側は脳梁、内側は透明中隔である。腹側は内側部分が視床、外側部分が尾状核に面している。尾状核は尾側で細くなり、外側に延びているので、側脳室中心部の腹側壁は、吻側ではほとんど尾状核だけでできているが、尾側ほど視床が大きい割合を占める。中心部は上下に潰れた平らな形をしており、腹側壁外側部の尾状核が外側壁を兼ねている。尾側壁の多くは脳梁だが、側脳室はさらに外側へ延びて下角とつながっているので、脳梁から外側にはみ出している。その部分の壁は脳梁に続く後頭葉の白質である。
  • 後角は後頭葉の中にある。内側の吻側部分で脳梁に接し、後頭葉の白質に囲まれている。
  • 下角は側頭葉の中にある。内側の被殻を抱き込む形に広がり、外側部分は側頭葉の白質に囲まれている。

側脳室の脈絡叢で作られたCSFはモンロー孔を通って第三脳室に入り、第三脳室の脈絡叢で作られた分とともに中脳水道から第四脳室に向かう。



 側脳室前角の異常:

髄液の流れが緩やかに障害を受け、脳脊髄液がゆっくりと貯溜し(脳室拡大)、頭蓋内圧亢進は来たさず、頭痛や嘔吐、意識障害はなく、脳室の拡大により脳が圧迫され、脳の機能が徐々に低下するものを慢性水頭症(正常圧水頭症)と呼びます。

髄液の流れが急に障害を受け、脳脊髄液が急激に貯溜し(脳室拡大)、頭蓋内圧が急激に上昇し、頭蓋内圧亢進症状(頭痛や嘔吐)、意識障害を来すものを急性水頭症と呼びます。



慢性水頭症の症状:

血の巡りが悪い    いらいらする   錯覚する   妄想する   など。

脳の各部の名称

脳梁‣脳弓の位置




側脳室と脈絡叢

幼児と成人の比較





                   側脳室の立体図
側頭・前頭の接合部

脳弓、脳梁、海馬

病例:
先日、かなり遠いところから80代の男性が奥さんと一緒に見えました。何やら書類を持っています。みると警察の診断書提出命令とあります。つまりこの人は田舎暮らしで車を運転しているのだけれども、多分何かおかしな運転をしたらしく、警察から認知症かどうか診断して貰えという命令を出されてしまったのです。
ほー、警察ってのは市民に命令出来るんだと思いましたが、その書類を見て私ははたと困ってしまったのです。認知機能が低下していることだけを診断するのでは無く、アルツハイマー病か、    いうのです。これは認知機能検査一枚では診断出来ません。脳のMRIが必要であります。しかしこの人は警察の命令書で来院したので、医療保健が使えません。診断書というのは自費なのです。MRIを自費でやったら自己負担が診断書料含めて2万円近くになります。
困ったなと思って宮城県運転免許センターの所轄部署に電話しました。そうしたら担当者が「あー、簡単な認知テストだけで良いですから」というのです。それではとMMSEという一般的な認知テストをやると、明らかに認知症のレベルです。ただ質問に対する答えの間違い方が変です。アルツハイマー型認知症には特有の間違え方があるのですが、それに当て嵌まりません。といって幻視もないのでレビー小体型認知症でも無いです。指に振戦が有りつま先を揃えて立たせると立てないので、パーキンソン病に付随した認知症かなあと思いました。
それで、ご本人と奥さんに「これだけでははっきりとどんな認知症か分かりませんがともかく認知症レベルです。車の運転は無理と診断せざるを得ません。ただしここまでは警察の命令に従っただけですが、これからあなたの治療をするには脳のMRIが必要です。ここからは保険診療でやりますが、当院にMRIはないので別の病院に紹介状書きますからMRIを撮って貰ってください」と話したのです。
そうしたらですね。
奥さんが驚くべき答えをしました。
「MRIなら去年石巻赤十字病院で撮って貰いました」
これは変なのです。石巻赤十字には日頃救急で大変お世話になっていますが、あそこの神経内科は認知症を診ません。診ないとはっきり宣言しています。その石巻日赤の神経内科がわざわざ入院させて脳のMRIを撮った・・・?変であります。
そうなんですか、それでなんという病気だと言われました?ときいたのですがそこはご本人も奥さんも要を得ません。ただご本人曰く、腹ばいにされられて何時間も背中に何かやられたというのです。
だんだん真相が見えてきました。石巻日赤に紹介状を書いて、こういう人がいるが何の疾患でしたかと問い合わせたら、結果は思った通りでした。
「正常圧水頭症です。タップテストで一定の認知機能の改善を認めましたがそれ以上の治療はご本人が希望されませんでした」
警察に出す診断書は全部書き直しになりました。
診断「正常圧水頭症」
予後「シャント手術ないし漢方薬五苓散(ごれいさん)の投与で6か月以内に認知機能が改善する可能性がある」
であります。後日運転免許センターから電話が掛かってきて、「漢方薬で認知症がよくなるんですか?と言うから、そうですよと答えました。正常圧水頭症は認知機能低下を示し、基本的な治療法は脳腹腔シャントですが、最近は五苓散で改善することが広く知られており、脳外科の先生もまずは五苓散を投与します。あの人その後どうなったかなあ。随分遠いところの人だったので、その後来てないのですが。