名槍「日本号」の流
この槍は、無銘ながら日本一と称される逸品である。
30cm以上の穂先をもつ「大身の槍」は日本に三本しかなく、穂先に龍が剣にまきつく見事な彫りがある。
もともとは正親天皇のもので、次に室町将軍足利義昭にわたり、さらに織田信長、豊臣秀吉の手にわたった。
そして秀吉が戦功のあった福島正則に与えていた。
黒田長政の命で母里大兵衛が福島のもとを訪れた時、大杯の酒を飲み干してこの槍を貰い受けたのは有名な話。
母里家は明治10年の福岡の変で衰退し、槍は頭山満が千両で買い上げた。
その後玄洋社の侠客だった大野仁平の手にわたり、彼の死後安川敬一郎(明治鉱業社長)が一万円買い上げて保管していたが、大正9年に黒田家に寄贈した。
さらに昭和54年に福岡市美術館開館の時に、黒田家から福岡市に寄贈されて、現在は福岡市博物館の所蔵品となり、展示されている。
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