古賀市の鹿部山の南麓にある観音堂はおとずれる人も少なく市民もあまりしらない。
古賀の千人参りという行事が春と秋に行われるが、その時の一番札所になっている。鹿部山公園に登る手前の変電所の付近である。
観音堂全景 |
鹿部観音堂の場所 |
九州歴史資料館の学芸員の
井形進氏がここの聖観音立像を精密に調査された。
聖観音立像 |
九州歴史資料館の特別展 福岡の神仏の世界「九州北部に
華ひらいた信仰と造形」のなかで詳しく公表された。
また今日は古賀の市民講座で1時間半の講演をされ、調査の裏話をまじえて紹介された。
鹿部聖観音立像 |
像の側面 |
鹿部の聖観音立像は平安初期の作品で、98cmの小柄なものだ。
特長は頭部が大きい、耳が縦長、翻波式衣紋の衣装で、鞍手の長谷寺や志賀島の荘厳寺の聖観音立像に通じるものがある。
使用された木材は楠で内部に節が有ることから、御神木を素材として仏像を作った神仏習合時代の作品である。
宗像神社、宮地岳神社、志賀島神社などの神官と周辺の僧侶の絆が強い時代であったことが判明した。
その他福岡県内に伝わる古代~中世の仏像や神像の重要作例を紹介し、それらの信仰の場の風景を解明する話であった。
具体的には若杉霊峰会千手観音像、谷川寺薬師如来像、浮嶽神社如来形像、鹿部観音堂聖観音像といった9~10世紀の彫像群はやはり存在感があって「九州仏」の魅力を示し、大祖神社・飯盛神社の宋時代の石造獅子や朝鮮半島伝来の古代~中世の金銅仏など地域性を明確に示すものであるという。
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