2020年8月9日日曜日

運動と意志「アクション心理」(改訂)



この本のなかで、人間の運動と意志に関連する内容を抜粋してみる。

人間は自分の意思で、指や手足を動かしていると思っている。

生まれたばかりの赤ん坊が、その手のひらに指を置くと、かなり強い力で握り返してくる。

この本能的な行動を自動行動とよび、随意行動と区別している。

お乳を吸う行動は本能的にはじまるが、やがて欲しいときだけ吸うようになり、随意行動がはじまる。


成人のこころは、知、情,意に分類される。

われわれは、「舌を出そう」と思えば簡単に舌を出せる。「人さし指を立てよう」と思えば、片手だけならすぐ立てることができる。
つまり思え(心理過程)ば、すぐに運動(神経過程)が実現できる。

しかし人が意識するのは、起こってしまった運動で、関節や筋や腱にある感覚受容器のおかげで運動を感じる。運動の結果だけを感じるが、途中経過は意識されない。

しかし心理学の研究で、運動(神経過程)には意識されない心理過程が共存していると分かってきた。

たとえば左右の手で、親指と小指を上げようとすると、まごつく。

さらに、腕を切り落とされた人が、義手をつけるとその腕を動かすことができる幻肢は、この共存する心理過程によるものだ。
これを「アクション心理」とよんでいる。

人の意志は運動を制御するのでなく、アクション心理を制御する。

これを一般用語では、気力とか集中力などとよぶ。

ゴルフなどのスポーツで、手足や体を総合的に使う運動では、最後にこの集中力を高めることが要求される。

最初は、グリップ、スタンス、スイングなどの基本動作を訓練するが、最後はショット時の集中力を高めることが必要となる。

これを完全な沈思、完全な無我などと表現される。

指先でもなく、両腕でもなく、視線でもなく、体すべてがひとつのショットという運動過程に収斂され、これに「アクション心理」が共存して、一つの行為に集中される。

追記:
最近の研究で、筋肉のなかには、筋紡錘があり、錘内筋繊維には感覚神経が存在していることがわかった、




したがって、筋肉の動きは、脳神経を通過しなくても、脊髄を通って相互に連絡している。
これを脊髄反射とよぶ。


このような筋肉の運動システムが最近明確に解明されてきた。


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