2023年1月18日水曜日

腎臓の働き

 「肝腎要(かんじんかなめ)」という言葉があります。この語源は「肝臓」と「腎臓」がとても大切な臓器であることに由来すると言われています。それほど大切な臓器ですが、その働きが一般的にあまり知られていないようです。

腎臓には血液をろ過して、体の中に溜まった老廃物や水分、取り過ぎた塩分などを尿と一緒に体の外へ出してくれる働きがあります。 腎臓はいらなくなった余分なものを体から追い出して、必要なものだけをしっかり体の中に残してくれるので、体の中の環境を正常に保つことができるのです。これが通常いわれている腎臓の働きです。

しかし専門家の説明によると、動物の進化の過程で、腎臓の働きは大きく変化してきたことがわかってきたようです。昨日のHUMANIENCEで報道されました。

太古の動物は海中で生息していたが、次第に淡水のなかで生息するようなり、さらに陸上に上がって生息するようになりました。


海中では水分も塩分も沢山あるので、魚類の腎臓は簡単な組織で、余分な水や塩を捨てるだけですみました。

淡水になると水分は豊富ですが、塩分が不足するので、捨てる水分の中の塩分を取り戻す働きが必要になりました。

陸上にすむようになった動物は、水分も塩分も不足するので、血液を濾過したあとの液体から、必要な水分と塩分などをとりもどす作用の組織ができました。

魚類にくらべて、人間などの腎臓の組織が複雑で、精密なのはそのためです。

腎臓は血液中の老廃物や取りすぎた水分・塩分を尿として外に出すといわれてきましたが、不足した水分・塩分をとりもどしていることが、最近の研究で明白になってきました。

1日に腎臓を通過する水分は150リットルですが、尿として排出する量は1.5リットルにすぎません。148.5リットルは回収しているのです。



私のように高齢者になると、その機能が低下してくるので、食事以外でも水分をたくさんとるによういわれ、これを実行した結果は、GFRの数値が少し改善されました。

水分や塩分以外にも、内臓各部に必要な各種の成分の管理を行い、健康に生存するための化学作用などにも腎臓の働きが関係していることが解ってきました。



腎臓の構造:


腎臓内の細胞の種類は30種類以上あるといわれ、複雑で繊細な構造です。
主要部は糸球体と尿細管で、その対をネフロンとよびます。






ネフロンは胎児のときにつくられ、その後の再生がないので、腎臓は再生能力がない臓器です。

尿細管部分の動脈と静脈の毛細管が密着して絡まっている状態が観察されています。



その尿細管の断面図は微小なポンプの集合体です。


尿細管の断面図

拡大した微絨毛の図

このような組織のポンプにより、血液中の必要な回収成分と、尿として排出する成分が分離されます。

尿の濃度をコントロールする部分

集合管の部分は人類独特の部分




その他、腎臓は他のあらゆる臓器と密接な関係をもっています。

NHKの人体特別版:「腎臓が寿命をきめる」で詳しく紹介されました。










0 件のコメント:

コメントを投稿