2023年4月6日木曜日

老化を招く細胞の正体?

 老化を細胞レベルで研究しているグループが大阪大学にある。その研究内容がNHKで報告された。

肺の繊維芽細胞は、若いころは活発に細胞分裂する。

しかし老化した細胞は、生きてはいるが分裂しない。

分裂できなくなった細胞は老化細胞で、死なずに存在し続けるため、ゾンビ細胞とも呼ばれる。


細胞が分裂するとき、25000のDNAをコピーするが、100~200のコピーミスをおこし、これががんを発生する原因になっている。

老化は生物が作った非常にクレバーな賢いシステムで、老化細胞は生物をがんから守ってくれていることだ。

しかし年齢とともに老化細胞が増えていくと、増えすぎた老化細胞がSASP因子を出す。

これはウイルスなどに対する免疫力も持っているが、これがたまりすぎると体の各部に炎症をおこし、慢性炎症の状態をおこす原因になる。


慢性炎症は、血管では動脈硬化、脂肪では糖尿病などを発生する。

がんを防いで命を守るという「老化細胞」が、逆に健康をそこなうというパラドックス。それが老いの正体なのである。

増えすぎてしまった老化細胞を取り除く研究も行われているが、アメリカとフランスの研究が異なり、まだ成果はえられていないようだ。

今後は単独の細胞レベルでの研究解析の技術(RNA)の進んで、個別の細胞ごとに動向の観測が可能になり、老化細胞を残すものと、取り除くものの区分ができる可能性があるという。


大阪大学微生物病研究所 遺伝子生物学分野 原 英二教授






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