2022年12月29日木曜日

ボスポラス海峡の橋とトンネル

 ボスポラス海峡横断トンネル構想は、オスマントルコ時代の1860年に設計図が描かれるなど、トルコ国民にとって夢のプロジェクトでした。従って、この工事は「トルコ国民150年の夢」とも呼ばれ、国民の関心が大変高い国家事業でした。

今まではボスポラス海峡を横断する交通手段は、2本の道路橋とフェリーなどの船舶があります。

道路橋は、イギリスと日本の企業の技術で完成しました。2002年に私がトルコ旅行をしたころは、2本目の道路橋が日本により完成して、喜ばれている時でした。

しかしそれでも交通渋滞と環境への影響が長年の問題となっていました。

鉄道が開通することで、人やモノの大量輸送が可能となり、トルコ共和国の更なる発展に役立つと期待されていました。





大成建設は2004年8月から、この工事に着手し、海底トンネルでは沈埋工法による世界最深部での沈設を成功させ、陸地トンネルではシールド工法・NATM工法などを併用しながら工事を進めるなど、トンネル施工技術の粋を集めた工事となっています。

ボスポラス海峡は、世界有数の海流速(約2.5m/秒)と、上下で逆向きの二層流がある複雑な海流で知られ、沈埋工法での施工は高度な技術を必要とする難工事と言われていました。そのような中、2008年8月には世界最深度となる海中60mでの沈埋函接続を成功させ、同年9月には海底トンネルの沈設作業を無事完了しました。

陸地トンネル(シールド工法)と海底トンネル(沈埋工法)との海峡下での接続は、アジア側工区で行われ、先に沈設した海底トンネルに、陸地からのシールドマシンを海中で接続するという世界初の試みでした。

手順としては、陸地と海底トンネルの間を人工地盤で埋め立て、シールドマシンが許容誤差数cmという精度で海底トンネルに接すると、凍結工法と呼ばれる特殊な止水技術により、海水の浸入を防ぐ措置が取られました。
止水完了後は海底トンネルの鋼製の遮断壁(バルクヘッド)とシールドマシンの前面カッター部を撤去し、トンネルが貫通しました。

シールドマシンが接続位置まで掘削を完了、止水措置及び効果確認を経て、止水鉄板の溶接を完了しました。その後、海底トンネル側の遮断壁(バルクヘッド)の解体とシールドマシン前面の撤去を行い、トンネルが貫通しました。

その後、トンネル内の設備工事や軌道の敷設工事、駅舎建築工事などを行い、2013年10月に完成しました。
日本ではあまりニュースになりませんでしたが、青函トンネルなどの実績があるからでしょう。

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