2003年にノーベル物理学賞を受賞した英国人アンソニー・レゲット教授は、半世紀以上にわたって日本人物理学者と親交を結び、国際交流に貢献してきた。
’70年代に極低温化で液体ヘリウムの粘り気がなくなる超流動現象を、超電導の理論を用いて説明。これらの先駆研究により、2003年米国アルゴンヌ国立研究所のアレクセイ・アブリソコフ、ロシアのレベジェフ物理学研究所のヴィタリー・ギンズブルグとともにノーベル物理学賞を受賞。
彼はロンドンのキャンバーウェルで生まれる。両親が数学者の家庭に生まれた彼は、若いころは哲学者をめざしていた。ソ連の人工衛星の成功などに刺激されて、進路をかえ、 奨学金を得てオックスフォード大学ベリオール・カレッジで学ぶ。
1965~66年代に、オックスフォード大学の奨学金で京都大学理学部に学び、日本語論文の英訳や閲読の仕事にも就いており、日本語が流暢である。その経験を元に理系論文の書き方「科学英語についてのノート」を発表し、現在では基本の名著となっている。’73〜74年には東京大学でも研究に従事した。妻も日本人の晴子さんをえらんでいる。
その後、何回も京大・東大など所縁の地を訪ねて、かつての教え子らと対談を行い、知られざる異文化交流体験をひも解くことによって稀有な人物像を明らかにするとともに、未来の科学者に向けたメッセージを伝える。
英国と米国の国籍を持ち、米国芸術科学アカデミー会員, ロイヤル・ソサエティ会員, 米国科学アカデミー外国会員, ロシア科学アカデミー会員、東京カレッジ理事長など、国際的な活躍を続けている。
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