2021年7月2日金曜日

翁と鏡の話

 高齢になると、自分の顔を鏡で見ることが殆どない。皺やしみのふえた姿など見たくないからだ。先日も家内から左目が赤いと注意された。仕方なく鏡をみると、眼球内に出血している。

半年くらい前にも右目が同じ状態になり、眼科で見てもらったら、2,3日でなおると言われ、その通りになった。今回は眼科にも出かけずにすんだ。家内は毎日鏡をみよというが、たまたまテレビで徒然草の解説を聞いていたら、第百三十四段に、翁と鏡の話がでてきた。
「或時、鏡を取りて、顔をつくづくと見て、我がかたちの見にくゝ、あさましき事余りに心うく覚おぼえて、鏡さへうとましき心地しければ、その後、長く、鏡を恐れて、手にだに取らず、更に、人に交まじはる事なし。」
翁の心理は千年前から同じであった。


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