2021年9月9日木曜日

宇宙の原理と神の支配

ソクラテス、プラトン、ピタゴラスなどの古代では、宇宙の法則に神の力を持ち込まなかった。

その後キリスト教の勢力が強まり、不明、不詳の現象をすべて神の力と解釈するようになった。

天動説に対して、地動説を唱えたガリレオを、異端者としてキリスト教会は処罰したという。

 ニュートンは、有名な万有引力の法則を発見した。しかし太陽や惑星、彗星という宇宙の体系は、叡智にみちた神の支配からうまれたものとしか思えないと、のべている。

江戸時代に西洋科学に接したのは朱子学を学んだ儒学者たちで、万有引力を神の力とは考えなかった。

朱子学には根本原理として、理気の説があり、気は天地万物の生命のエネルギーのようなものという思想である。
三浦梅園(豊後・国東)は、物を形成しているものには、「有する気」と「寓する気」があり、「二気感応してもって相与す」と把握している。
志筑忠雄(長崎)は、およそ物体には、内部に弾力、外部に引力があり、引力の原因は、物体から気を放つ「放気」によると表現している。
帆足万里(豊後・日出)は、引力の本質を、東洋的「気」の思想から、「暖気」という物質的ものと考え、これは物体内の硫硝の二質中にかくされていて、物体の外に引力として反応すると考えた。
ニュートンは引力を認識したとき、その原因を創造主たる神にに委ねたが、ギリシャ的「精気(スピリット)」の考えもあると、後学の人々に託した。
ニュートンの引力を伝え聞いた日本の学者たちは、東洋的な「気」の哲学で解釈した。
現在の我々から見れば、興味深い和魂洋才である。

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