2021年9月9日木曜日

フランスのルイ14世

 フランスのルイ14世は、1715年に死亡したが、民衆が泣き悲しむことはなかった。

72年もの在位期間はフランス史上最長であり、18世紀の啓蒙主義思想家ヴォルテールはルイ14世の治世を「大世紀」(グラン・シエクル Grand Siècle)と称えているが、絶対君主として君臨し、強固な秩序、厳格な礼儀作法による行政で、民衆は窮屈さ、息苦しさを感じていた。

彼の死後5年目の1720年に画家ヴァトーが描いた画廊の風景画がある。(写真)


画面左にはルイ14世の肖像画を木箱にしまい込み、重い蓋をかぶせている。
画面右の画商が示している楕円形の絵や壁の絵には、さまざまの形の裸婦が官能的に描かれ、それを客が品定めしている。
生きる喜びを楽天的に肯定しようとするこの時代の空気を率直に表現したといえる。
この69年後、ルイ16世の時には、フランス大革命がおきる。その予兆のはじまりの絵である。

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