2019.1.記事
東芝に勤務している教え子の賀状には、やっと東芝も立ち直りましたと書かれていた。
財界の老舗企業でもあり、社長・会長を務めた西田厚聡氏(2017年死去)が経営のかじ取りをしていたころは「優良企業」とはやし立てられた。選択と集中を断行し、事業構造改革を進めたと評価された。
だが西田氏が「名経営者」と言われ始め、社内で独裁者として君臨してから、歯車が狂った。東日本大震災前に原子力発電事業を強化したことにも足をすくわれた。
業績を高く維持するために「チャレンジ」という掛け声で現場に無理を強いり、できない場合は不正会計に手を染めた。その結果、巨額損失を抱えた。今では会社を切り売りして、何とか生き残りを目指しているが、かつての総合電機産業の面影はない。
東芝の不正会計はまさにコーポレート・ガバナンスの欠如から生まれた。コーポレート・ガバナンス(corporate governance)とは、企業の不正行為の防止と競争力・収益力の向上を総合的にとらえ、長期的な企業価値の増大に向けた経営の仕組みで、日本語では企業統治(きぎょうとうち)とも訳される。
不正と分かっていても、上司の指示に異議を唱えられず、部下たちは従ってしまった。「実力経営者」の暴走を止める手立てが社内にはなかった。社外取締役も採用し、コーポレート・ガバナンスでは先進企業だとみられていたが、内実はお粗末だった。
同じような事態が日産自動車のゴーン元会長のもとでおきていた。
名経営者は、信長のように、光と陰をともなっていることが多いようだ。
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