ナポレオン3世と徳川慶喜の関係は、1855年、微粒子病、発疹、軟化病によって、リヨン、グルノーブル、アルデーシュ、セヴェンヌなどにある複数の養蚕会社が壊滅的被害を被った事から始まる。
失われた養蚕用のカイコを補充するために、フランス帝国は、海外に目を向けなければならなくなり、まず中国に白羽の矢が立てるが、中国産の繭の品質は絶望的に劣悪だった。
その一方で、日本製の乾燥した繭と卵は、高い評価を得た。
フランスは、ナポレオン3世自ら率先して日本との新たな関係に希望を注いだ。
というのも、フランスにとって重要な養蚕産業は、絹の生糸と蚕卵の調達において、新時代への適応を必要とされていたからだ。日本を貿易の拠点と看做し、幕末の日本にも現れた。
1858年8月19日には、ナポレオン3世が使節のグロ男爵と共に品川に上陸した。日本の記録では、
ロッシュが交渉の代表者になっている。
彼はすぐに交渉を開始し、1858年10月9日には日仏修好通商条約が、将軍徳川慶喜とフランス帝国との間で結ばれた。
2人は日・仏の衣服の交換をして、修好の精神を表している。
徳川慶喜 |
レオン・ロッシュ |
この条約により、領事および領事官職員は条約港の外国人居留地に居住し、フランスの外交官および領事館員は、日本帝国の全域を自由に旅行することができると定められた。
フランスとの取引に際して、1859年8月15日から、函館港、神奈川港、長崎港、そして新潟港と兵庫港が開港された。
ナポレオン3世は1859年9月に、最初の代理公使であるギュスターヴ・デュシェーヌ・ドゥ・ベルクールを任命。同氏が1859年9月22日付の条約を批准して、横浜に公使館を設置した。
同外交官は在日領事となり、その後、1861年6月8日付けの法令の適用で、公使に任命された。同氏は、最終的に、1864年4月30日に江戸を去った。
フランス帝国は、日本が使節団を送り込んだ国としては、米国に次いで2番目の国だった。使節団の一つが1862年1月21日に品川を出発して、イギリス船オーディン号に乗船し、マルセイユに到着したのは4月3日だった。そして同使節団は、4月13日にナポレオン3世により迎え入れられた。その後同使節団はパリで、日本の複数の都市の開設に関する覚書を交わした。
若い日本の政治家と彼らの外国人のホストとの間で、親密な関係が築かれ、友情が生まれた。そうした友好関係は1868年に明治時代が始まった時に、さらに推進された。
フランスは、19世紀半ばに、絹産業での地位を維持するために、絹の生糸の国内消費量の80%以上を輸入しなければならなかった。養蚕業で毎年病が広がり、フランスの生糸の輸入依存率が高くなっていった。リヨンの絹産業関係者にとって、日本は、絹の生糸と蚕の供給源であるように思われた。
その重要性は非常に大きかったので、生産者が条約の翌日に、代表者ルイ・ブレを横浜に送り込んで、直ちに紡績工場を建設させた。横浜は驚異的な速度で拡大しており、当時の日本の貿易の80%を占めていた。
リヨンは5年で絹貿易の世界的リーダーとなる。
(リヨンと横浜の姉妹関係は、1959年4月7日 姉妹都市提携。すでに60周年記念をすぎている。)
この時、日本国内にいた283人の外国人のうち、フランス人は合計で56人を占め、そのうちの17人は絹貿易に従事していた。
マルセイユとの輸送機関は、当初は英国の仲介業者に委託されていたが、1865年9月に海運会社CMA CSMが通常の郵便サービスを開始した。
幕府ははじめは非常に懐疑的だったが、1864年にフランスに向けて、養蚕用蚕1万5千箱を搭載した軍艦デュプレックスの出発を容認した。
翌年、徳川慶喜が提供したのはナポレオン3世への15,000箱で、それは10匹の牝馬、10匹の種馬、アルジェリア人種、衣装、二角帽子と引き換えにであった。
1868年の政権交代で明治政府ができたとき、フランスは日本の絹の一番の輸入国であった。フランスが買っていたのは日本の生産の半分以上であった。
生の絹、フ原料、絹の廃棄物、組織、繭、種子が、日本からフランスへの輸入品の全体を構成している。それは唯一成功している商産業および金融産業であり、それは、ナポレオン3世の治世において、非常に重要で決定的なものであった。
1868年にナポレオン3世は、徳川将軍の失脚後、レオン・ロッシュ大使をフランスに呼び戻す。
後継者には、強力なリヨン商工会議所の援助を受けて、フランスの養蚕業の発祥地の1つであるグルノーブル出身であるレオン・ロッシュが後任として任命された。
(つくば市とグルノーブル市は、2013年(平成25年)11月12日に開催された筑波研究学園都市50周年記念式典において姉妹都市を締結した。
グルノーブル市 は、フランス共和国イゼール県の県庁所在地。グルノーブル大学を抱える学術都市である。)
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