昭和19年に3ケ月間学徒動員で働いたのが、三菱化成黒崎事業所(福岡県北九州市)である。ゼロ戦の風防ガラスを作っていた。プラスティックはまだ無い時代で、メタアクリル酸メチルエステルという素材であった。
現在その工場で、三菱ケミカルが開発した「プラスティックの皇太子」と呼ばれる新素材が製造されている。 実はこの通り名は、同社がキャッチフレーズとして勝手に付けたもので、「デュラビオ」というれっきとした本名がある。植物由来のバイオプラスチック素材で、エンジニアリング・プラスチックの一種だ。
現在、黒崎でのキャパシティはフル稼働で年間で5000トンだが、20年までに同2万トンに増やす計画だそうだ。
これまでに採用実績があるのは、モバイル端末の表面に使うガラス、ディスプレイに内蔵する偏光板、眼鏡の上からかけるサングラス、化粧品の容器などだが、自動車の内装と外装などにひろがるらしい。
今後、さらに用途が広がっていけば、“プラスチックの皇太子”の称号が、業界内のスタンダードとして定着するかもしれない。
0 件のコメント:
コメントを投稿