入浴と温泉:
毎日入浴するのは健康維持のためによいそうだ。高齢者はその準備やあと掃除の手間が苦労だが、毎日入るように心がけている。「身体の清潔」や体調をたもつために必要だ。
浴室とトイレは「個」の空間で、「心理的な清潔」を保つにも大切な空間である。風呂は「羊水」ともいわれ、湯舟は母体への回帰で、安らぎと蘇生感を与えてくれる。
個の空間でなくても、銭湯や温泉は、人の心をやわらげてくれる。「銭湯の湯舟のなかで見る顔には帝国主義もなければ社会主義もない。」と寺田寅彦は言っている。今は少なくなった銭湯は、かっては町の社交場でもあった。
温泉となると、都会を離れて田舎にでかけ、周囲の景色がいいとか、湯量がおおく身体に効く成分が含まれているとか、悠々と寝そべっていられるなどの付録がつく。
温泉の浴槽は低く掘り下げられていて、縁をまたがなくていい点を強調しているのが、中谷宇吉郎だ。縁をまたがずに出入りできるのびのび感は、空間構成と身体動作の心理による点に注目している。
白楽天の詩:温泉水滑洗凝脂 を、夏目漱石は「草枕」のなかで引用しているし、永井荷風は、「腕くらべ」のなかで、「家の風呂桶じゃ鼻歌も出ねえ」といっている。
19射場 総司、谷口 治、他17人
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