大黄山は、ユーラシア大陸に、インド大陸と太平洋プレートが押し合ってできた断層地形で、奇峰、怪石が多い。
秦の時代には黟山(いざん)と称されていたが、唐の時代には現在の黄山の名前に改められた。
峰と雲が織り成す風景は、まさに仙人が住む世界「仙境」と言われている。多くの文人が憧れ、水墨画、漢詩などの題材となった。
冬に見られる雲海 |
海から流れ込む湿った空気が海抜1000m以上の峰々に漂い、大量の霧や雲を発生させている。
四季による風景の変化が大きい |
三主峰と呼ばれる蓮花峰、光明頂、天都峰があり、その他69の峰がある。
そして、荒涼とした風景を彩る「黄山松」は、岩の割れ目に根を張り、強い生命力を持つとして、尊ばれている。
以上の怪石、雲海、奇松に温泉を加え、「黄山の四絶」と称された。このことから、「天下の名勝、黄山に集まる」と言われ、古代から中国の人々が黄山の美しさを「天下第一」と称えている。
幾多のスポットには、その独特の発想で名前が付けられた。
この名声に憧れて多数の文人が訪れ、水墨画、漢詩などの題材となった。
東山魁夷は、黄山を「充実した無の世界。あらゆる山水画の技法が、そこから生まれたことが分かる」と評している。
東山魁夷「黄山雨過」 |
平山郁夫「神峰黄山雲海図」 |
中国人の精神的な拠り所となってきた黄山の周辺には、道教や仏教の修行の場として、多くの寺院が建てられている。
文房四宝(硯・墨・筆・紙) |
多くの画家が集まり、黄山派とよばれる画風も成立した。地元の岩石からとれる硯、黄山松から作る墨、地元産の筆や紙の文房四宝が有名である。
黄山の北に位置する九華山は、97の寺院が集まる地蔵菩薩信仰の総本山で、黄山で修行した僧侶が開いたと言われ、その僧侶が地蔵菩薩の化身であったとの言い伝えから、この地が聖山となった。
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