ウサマビンラディンという9.11を仕掛けたといわれる人物は、それ以前はアメリカと友人で、軍事援助や訓練を受けた人だ。ところがアメリカの政策が変わると、いつの間にかアメリカの敵となった。武力侵攻が出来ないので大規模な同時多発テロに及んだ。
2001年、9.11の同時多発テロをきっかけにアフガニスタンへの侵攻を開始したアメリカ。それにより、ほぼ全土を実効支配していたタリバンは政権の座を追われ、一時ほぼ壊滅状態に陥ったものの、ゲリラ攻撃による反攻で紛争は泥沼化、米軍の被害も増大した。
この20年、アメリカがアフガニスタンに注いだ1兆ドルほどの資金の多くは、政府や軍の要人のポケットに入り、30万人いるアフガニスタン人兵士のうち15万人は給料をあまりもらっていなかったともいわれている。
そしてアメリカ政府やアメリカ軍がいなくなってしまった。もう誰のために、何のために戦っているのかと、士気が萎えてしまった。
一方、6万人しかいないといわれるタリバンの兵士は“この機会を逃してなるものか”、と闘志が満々になった。
各国の大使館の職員が引き上げていく中、中国大使館とロシア大使館の職員は引き上げてはいない。
これが何を意味しているかといえば、両国の大使館は危なくない、すなわちタリバンの側に立っていたという何よりの証拠だ。
中国とインドは仲が良くない。仲が良くない国の敵は味方だ。だから中国はパキスタンやアフガニスタンと仲がよい。その流れで、中国は早速タリバン政府を認めた。
中国はこれにより、アメリカがいなくなったところに入っていくことができるようになり、一帯一路をきれいに繋げられることになる。
アメリカも含め、フランスもイギリスもロシアも、過去に中近東に関わっては失敗して撤退する、その繰り返しだ。そもそも挑戦しないほうが良かったかもしれない。
この数年の間にシリア、イラク、あるいはアフリカで武装勢力が活発になっている。そういう中で、アフガニスタンがまた空白域になった。
人類の世界平和は、どこにあるのだろう?
アフガニスタン近郊で立派な活動をされていた中村哲医師が犠牲になったという事実を私たちは忘れられない。
それよりはるかに過小ながら、数年間JICAでパキスタンやアフガニスタンの研修生を指導した私の仕事もむなしく思える。
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