2022年9月13日火曜日

ダ・ヴィンチの自画像

 2018年フランスのTV局の制作でNHKやドイツも参画して作られたアートミステリーの番組である。

この画を所蔵していたのはサレルノに住むコレクターで‘ガリレオの絵’と思っていたようだ。
2008年にイタリアの美術史家がこの古い肖像画を見てすぐダ・ヴィンチの自画像と直感したという。複製図を他の美術館で見ていたからだ。
それで修復士らとプロジェクトつくってこれがダ・ヴィンチ(1452~1519)が描いた自画像かどうかの科学的な調査を入念にはじめた。
確認事項は、使われた顔料、絵の土台であるパネル板の材質の特定(ポプラと判明)、木が存在した時期(炭素14法による年代測定)、木枠に書かれたPINXITの意味(自作)と筆跡判定、弟子のメルツィが1515年頃描いた晩年のダ・ヴィンの肖像画との比較、‘モナ・リザ’で使われたスフマートの技法(両眼の視線のずれ)との関連性、そして画面に残された指紋の分析など。
‘ルカーニアの肖像画’と名付けられたこの絵はこれらの分析確認によってダ・ヴィンチが15世紀の末から16世紀の初頭にかけて描いた自画像という可能性が高くなってきた。
ダ・ヴィンチがちょうど50歳の頃の自画像である。没後500年本物の自画像が現れたというアートミステリーだ。
現在、修復されて‘古代ルカーニア博物館’におさまっているそうだ。(ルカ―ニアはサレルノの古い呼び名である。)






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