田中吉政（石田三成から徳川家康へ）

田中吉政治（たなか よしまさ）は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将大名。

転封の過程で居城とした近江国八幡（現滋賀県近江八幡市）、三河国岡崎（現愛知県岡崎市）、筑後国柳川（現福岡県柳川市）などに、現在につながる都市設計を行った。

田中氏は、18世紀後半に編纂された『寛政重修諸家譜』によると近江国高島郡田中村（現在の滋賀県高島市安曇川町田中）の出身であったという。また先祖は近江源氏高島氏の一族で田中城の城主であったともいわれる。

田中吉政が世に出る切っ掛けは、秀吉の長浜城主時代にさかのぼる。

秀吉が長浜城主となってから家来に加えた武闘派法師の宮部継潤に吉政が仕えていた際に、恐らく一般的な武士が持ち合わせていない農業や土木知識の非凡な才を「人の目利き」である秀吉に見出されてから世に出る切っ掛けを掴んだ。秀吉がこれは「只者ではない！」と将来性を買い、継潤に吉政を譲り受け、直臣に取り立てた。

天正10年（1582年）頃、宮部家中から5,000石を与えられ、秀吉の甥の羽柴秀次（のちの豊臣秀次）の宿老となった。

戦国時代でも一、二を争う「都市計画」「町づくり」の名手として名を残す田中吉政は、地の利を生かす洞察力に長け、それをどう町作りに生かすかの計画力と実行力に富んだ人であったことが、彼が残した近江八幡、岡崎、柳川の城下町から推察できる。

吉政は長浜城のつぎの業績として岡崎城を近世城郭に整備した。そして城下の町割には7つの町を堀で囲む田中掘を築造した。また、西側の低湿地の埋め立てを行った。さらに、本来岡崎の郊外を通っていた東海道を岡崎城下町の中心を通るように変更し、「岡崎の27曲がり」といわれるクランク状の道に整備した。

田中吉政の業績を称える伝承から想像すると、新しい領地を得ると吉政は手弁当でまずは自ら町を歩き、町をつぶさに見てから絵図を描き、メモを書いて次に民の声を聞き取り、その足で稼いだ調査結果を得た後に、現場の役人の声を聞いて町作りでは何が足りなく、何が使えるかを見極め町のイメージが出来上がってから、町割りと掘割を決めていた。

石田三成は、永禄3年（1560年）、石田正継の次男として近江国坂田郡石田村（現在の滋賀県長浜市石田町）で誕生した。 北面武士であった下毛野朝臣の一族、もしくは三浦一族である相模国大住郡石田郷の住人石田為久の末裔とされる他、石田村は古くは石田郷ともいい、石田氏は郷名を苗字とした土豪であったとも言われている。

同郷の若かった頃の石田三成にとって一回り年上の吉政は、自分と同じ行政肌の目指すべき人であった。

吉政の主・豊臣秀次が失脚しなければ豊臣家の中核を為す人物として、三成と共に豊臣家の重鎮として活躍していたであろう吉政であった。

しかし、文禄4年（1595年）、秀吉により秀次は自害させられ、木村重茲、前野景定、羽田正親、服部一忠、渡瀬繁詮、明石則実、一柳可遊、粟野秀用、白江成定、熊谷直之ら10名が賜死となり、そのほかにも多くの一族や家臣が処分を受けたが、吉政ら宿老にはお咎めはなかった。

吉政は秀吉の死後は、三成とはなれて徳川家康に接近し、慶長5年（1600年）9月の関ヶ原の戦いでは東軍に属した。秀次を抹殺した秀吉の処分に対する反感からであろう。

関ヶ原の合戦前の岐阜城攻略では黒田長政・藤堂高虎と共に大垣城から岐阜城へ向かう西軍を河渡で殲滅した。

三成が「関ヶ原合戦」後に、吉政に捕縛されるのであれば「本望」であると伝わっているのも合点がいく。三成が彼を指名して捕縛を名乗りでたのも不思議でははない。

三成は捕縛された際に極度のストレス性胃痛を起こしていた。何を出しても食べ物が喉を通らない状態であった。

吉政は一計を案じた末に薦めたのが「ニラ粥」であった。「ニラ粥」を食事に出され、三成はようやく口にして体調を戻したそうである

三成が秀吉から賜った「石田貞宗」の脇差を吉政に授けたのは「豊臣家の行く末」を託した無言の願いであったのかと思わなくもない。

人の織りなす歴史とは、思う様にはならない人の想いの影を読み取れる物語だと思える。

関ケ原戦の後、これらの勲功が認められて、筑後一国柳川城32万石を与えられ、国持ち大名となった吉政は、柳川の掘割を整備することで水運や稲作のための用水路を整備し、近代的な街作りを行った。

水路以外にも柳川と久留米を結ぶ田中街道（現福岡県道23号）や柳川と八女福島・黒木を結ぶ街道を作るなど、陸路の整備にも力をいれた。また、矢部川の護岸整備や有明海沿岸に慶長本土居と呼ばれる堤防を整備したほか、収入の増加を目指して有明海の干拓にも取り組んだ。

慶長14年（1609年）2月18日、吉政は京都伏見で没した。享年62。田中家は跡を継いだ忠政が男子を残さぬまま死去したために、元和6年（1620年）に改易された。

忠政がキリスト教に寛容であり、キリスト教禁教後の政策が比較的穏やかだったことが一因とする見方もある。

傍系の親族は他家の家臣となることなどで家系を存続させている。

朝倉、小郡、久留米、柳川などに田中姓の知人がいるが、この家系につながるのだろう。

戦後、これらの勲功が認められて、筑後一国柳川城32万石を与えられ、国持ち大名となった。吉政は、柳川の掘割を整備することで水運や稲作のための用水路を整備し、近代的な街作りを行った。水路以外にも柳川と久留米を結ぶ田中街道（現福岡県道23号）や柳川と八女福島・黒木を結ぶ街道を作るなど、陸路の整備にも力をいれた。また、矢部川の護岸整備や有明海沿岸に慶長本土居と呼ばれる堤防を整備したほか、収入の増加を目指して有明海の干拓にも取り組んだ。慶長14年（1609年）2月18日、吉政は京都伏見で没した。享年62。田中家は跡を継いだ忠政が男子を残さぬまま死去したために、元和6年（1620年）に改易された。忠政がキリスト教に寛容であり、キリスト教禁教後の政策が比較的穏やかだったことが一因とする見方もある。傍系の親族は他家の家臣となることなどで家系を存続させている。