2017年7月22日土曜日

棟方志功の捨身飼虎の柵

捨身飼虎の柵
テレビ番組で、昭和の偉人伝の一人に棟方志功がえらばれ、その一代記が放送された。
安川カレンダーとの縁で若いころからその名は知っていたし、作品展の資料や作品集もてもとにあり、また一度棟方ご夫婦と夕食を共にしたこともあるので、放送内容はほぼ既知のことであった。
ただ晩年の作品である「捨身飼虎の柵」については、単に仏教の教えを描かれたものと思っていた。
しかし番組では、若いころから虎の絵を描くように父親から言われていたのに、なかなか書くことがなかった志功さんが、ようやく仏教と虎の因縁をみつけて、亡くなる1年前の昭和49年度の日展に出品した作品だと紹介していた

捨身飼虎図で有名なのは法隆寺の玉虫厨子の捨身飼虎図である。菩薩本生鬘論等に出てくるお話で、お釈迦様は前世で薩埵王子だったとき、飢えた虎とその7匹の子のためにその身を投げ与えて虎の命を救った、という。
玉虫厨子の捨身飼虎図

これは自己犠牲の精神を説いたものと思われているが、これは一見「弱肉強食」と見えるこの世界を、真理の目で見たら逆になるということを説いているとも思える。
食物連鎖は厳然として宇宙の始まり以来続いる。これをどう考えるかで、寅年生まれの私は飼虎の恩恵もうけている。
食べる側は「弱肉強食」だが食べられる側は「捨身飼虎」である。食べる人間は「虎」で、食べられる動植物たちは「薩埵王子」である。

われわれも日々犠牲となっている生物の「捨身飼虎」時の「願心」を汲み取らなければならない。そして日々犠牲となっている生物の「捨身飼虎」時の「願心」をくみ取ることができれば即座にこの世が浄土となるということである。


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