2023年1月20日金曜日

まくら言葉(枕詞):掛け言葉(掛詞)

 足引(あしび)きの 山鳥(やまどり)の尾(お)の しだり尾(お)の

ながながし夜(よ)を ひとりかもねむ(ん)

「夜は雌雄が離れて寝るという山鳥の、長い尾のように、
長い秋の夜を恋しいあの人と離れてたった一人で寝るのは寂しいなあ」という意味。
一人寝の寂しさが、秋の夜をより長く感じさせるのでしょう。
「の」を続けることで、「長さ」を強調しています。

前半の言葉は、「長さ」にたいするまくら言葉といわれます。


おもな枕詞には,以下のようなものがあります。覚えておきましょう。

「あしびきの」(山・峰)  「あをによし」(奈良)  
「くさまくら」(旅)     「しろたへの」(衣・袖[そで])  
「たらちねの」(母)   「ちはやぶる」(神)
「ひさかたの」(光・天)  「ぬばたまの」(夜・黒)


五月雨を 降り残してや 光堂

(読み方:さみだれを ふりのこしてや ひかりどう)

「何もかもを朽ちさせてしまう五月雨も、この光堂だけは降らなかったのだろうか、金色の堂宇が光り輝いていることよ。」

ふりは、五月雨が降ることの意味と、金色堂がふるびずに光輝いているの意味をかねており、掛け言葉といわれます。

一つ言葉同時に二つの意味もたせる修辞法で、和歌の例では

「立ち別れいなばの山の峰におふるまつとし聞かば今帰り来(こ)む」〈古今離別〉の歌

「いなば」に「立ち別れ往(い)なば」と「因幡(いなば)の山」の意味が、

また「まつ」に「」と「待つ」の意味含まれている例です。

和歌謡曲浄瑠璃などでも多くみられます。

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