2022年6月18日土曜日

カレーライスの話。

  カレーライスの話。

 カレーライスといえば、海軍カレーが有名です。佐世保だ、舞鶴だ、いや横須賀が海軍カレーの発祥だと、本家と元祖の争いのようだが、実弾が飛び交うわけではないので、こういう論争は楽しい。
 東郷平八郎がビーフシチューが好きで、そこから肉ジャガができたの、それにカレー粉をぶちまけたからだの、諸説あって面白いです。
 洋上で曜日を忘れないために、毎週金曜日に出されたなどという話もありますが、脚気対策でもあったそうです。
 脚気はビタミンB1不足から発症するとのことですが、原因不明の時代は伝染病だのなんだのと恐れられた病気でした。この脚気については高木兼寛という海軍軍医が、欧米の船乗りに脚気が少ないことに気づき、もしかしたら、主食の違いなのかもとひらめきました。パンとメシの違いは小麦か米か、です。
 高木はイギリスから廻航する軍艦の乗組員には、強制的にパン食にして実験まで行いました。結果、麦食が脚気予防と発見したのです。
 しかし、明治時代の兵隊の軍隊での楽しみは、白いご飯が食べられることでした。麦メシはいやだ、ということで麦飯でも食べやすく食欲が湧くものとしてカレーが推奨されました。
 今では、栄養過多の時代ですから考えられない話ですが、その栄養補給が海軍カレーとして定着するのですから、面白いなあと思う次第です。
 風聞では日本人で最初にカレーを食べたのは山川健次郎だそうです。明治4年、アメリカ留学の際、船の中でメシが食いたいと思ってカレーライスを注文したとか。
 高木も山川も、東京の青山霊園に眠っています。
 あの世で、カレー論争をしている様を想像すると、おかしくなります。

浦辺登

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