2017年8月23日水曜日

三谷幸喜のメモ(真田信繁を活躍させたい)

ドラマでは真田信繁は秀吉の馬廻(うままわり)衆(いわゆる護衛)を務めている。
専門家から歴史の捏造(ねつぞう)だと指摘されたが、これは決して僕の創作ではない。馬廻をしていた事実は、つい最近になって分かったこと。歴史は日々成長している。
小田原征伐で、信繁を活躍させたいと思った。この戦に参加しているのは確かだが、どんな役目を果たしていたかは、定かではない。
そこで、「北条氏政に降伏を促すため城に潜入」というエ
ピソードを思いつく。

★だが実際は降伏の交渉をしたのは黒田官兵衛。史実は曲げられない。
官兵衛は秀吉の命を受けたオフィシャルな交渉係。その裏では、徳川家康らも密(ひそ)かに開城交渉をしていたらしい。
★官兵衛とは別に、信繁は家康の命令で非公式に氏政に会うというのはどうか。考証の先生たちの意見を踏まえ、プロデューサーが考えて
くれた。
では、なぜ家康は信繁に託したのか。そこからは僕の仕事。その前の回で、秀吉の前で信繁と舌戦を繰り広げた、北条の外交担当板部岡江雪斎と、家康の軍師本多正信を思い出す。
信繁の知恵と度胸に惚(ほ)れ込んだ彼らが動いたことにし
よう。こうしてようやく物語が動き出す。そんな感じで毎回やっています。
複数の交渉が同時に行われていたことは、あまり知られていないので、
★官兵衛ファンの方は、信繁が手柄を横取りしたとお怒りかもしれませんが、そうではないのです。描かれていないだけで、ちゃんと官兵衛も頑張っているのです。~

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