2025年4月4日金曜日

岡本かの子

 


薔薇見れば薔薇のゑまひ、
牡丹に逢はゞ牡丹の威
あやめの色のやさしきに優しく
女人われこそ觀世音ぼさつ。

柳絮直ければ即ち直く
松嚴くしければわれも嚴くし
杉いさぎよきに、はた、いさぎよく
女人われこそ觀世音ぼさつ。

そよ風にそよとし吹かれ
時に、はた、こゝろ浮雲。
足裏の土踏むちから、
女人われこそ觀世音ぼさつ。

人のかなしみ時には擔ひ
よろこびを人に送りて
みづからをむなしくはする
女人われこそ觀世音ぼさつ。

ぼさつ、ぼさつ、觀世音
千變萬化
圓融無碍もて世を救ふ
女人われこそ實に觀世音。


《岡本かの子『觀音經を語る』(大東出版社 昭和17年)所収》

2025年4月1日火曜日

原 石鼎

 原 石鼎(はら せきてい、1886年3月19日 - 1951年12月20日)。

島根県出身の俳人高浜虚子に師事、「鹿火屋」を創刊・主宰。

大正期の「ホトトギス」を代表する作家の一人ではんが、色彩感覚に優れたみずみずしい作風で一世を風靡した。本名は鼎。

版画は棟方志功。