2022年10月25日火曜日

和田家文書(わだけもんじょ):天は人の上に人を造らず

 和田家文書(わだけもんじょ)とは、青森県在住の和田喜八郎が自宅から「発見」したとされる、東日流外三郡誌など、主に津軽地方に関する江戸時代に編纂された歴史書とされる文書群の総称である。

青森県五所川原市在住の和田喜八郎が、1948年自宅の改装中に天井裏から大量の古文書が落ちてきたという。これが『東日流外三郡誌』を始めとする「和田家文書」であった。

その「原本」は、1789年から1822年までの34年間にわたり、陸奥国三春城主の義理の子にあたる秋田孝季と和田喜八郎の先祖である和田吉次の二人が日本全国をめぐって収集し編纂したものであり、これを1870年から1910年の期間に、全巻を和田家の子孫である和田末吉(喜八郎の曾祖父)が写本したとされる。その「写本」は600巻以上にもおよぶ膨大な資料であった。

1975年から1977年にかけて「市浦村史」(資料編上巻東日流外三郡誌)として刊行されたことから注目されるようになった。

その後、古田武彦(元昭和薬科大学教授)が真書と主張したが、安本美典(元産業能率大学教授)などは偽書であると主張し、大々的な論争となった。

内容は日本書紀を初めとする中央の日本正史の記述にはないもので、古代津軽地方に大和朝廷から弾圧された民族の文明が栄えていた、という所謂古史古伝といえる内容であった。

(現在、和田家文書と総称されるものの現存分は、和田の支持者であった藤本光幸の妹である竹田侑子が管理している。)

この一連の和田家文書の真贋をめぐり、内容は信用できるとする擁護派と否定派による論争が続いた。

真偽論争がさかんに行われていた頃には、「東日流外三郡誌」と題するものと、それ以外の和田喜八郎が発見した古文書と称するものを合わせた総称として、関係者ごとに東日流諸郡誌・和田家文献・和田家史料・和田家資料・東日流誌・和田文書・和田喜八郎文書などさまざまな名称が用いられていた。

真作説を主張する論者および真作説に好意的な論者としては古田武彦北村泰一笠谷和比古平野貞夫吉原賢二古賀達也水野孝夫棟上寅七竹下義朗福永伸三大下隆司前田準上岡龍太郎飛鳥昭雄高橋良典内倉武久松重楊江久慈力竹田侑子、西村俊一佐治芳彦上城誠などがあげられる。

この中には大学に職を得ている者や著名人、政治家などもいるが、偽書であるという定説をくつがえすに至っていない。

和田に対し別府市在住の歴史愛好家から、和田の著作への写真の盗用と、論文を「和田家文書」へ盗用したとして訴訟が提起された。訴訟は最高裁まで係争になったが、一審から上告審まで写真については「熊野」の写真を「津軽」として盗用したとして40万円(一審は20万円)を支払うよう判決が出されたが、論文については、類似性を認めつつも、著作権侵害か否かについての判断をしなかった。

この民事裁判の判決文では、青森地裁・仙台高裁とも、裁判に関連した文書群を「『東日流外三郡誌』等」と呼んでおり、「和田家文書」の呼称を用いることはなかった。


この真偽論争が東北地方が主な舞台であること、専門家とされる人々がアマチュアのトリックに騙されたこと、捏造された遺跡・遺物が所在地の自治体から支持されていたことなどから、安本美典斉藤光政旧石器捏造事件との類似を指摘している。


真書説を採る古田武彦も、当初『東日流外三郡誌』をうさんくさいものとして相手にしていなかった。しかし、古田は和田との会見の際、自らの主張する「邪馬壹国説」「九州王朝説」の傍証とも読める記述を和田家文書に見出したのがきっかけで『東日流外三郡誌』に傾倒するようになり、ついには『東日流外三郡誌』を根拠とする東北王朝説を提唱するにいたった。

ただし和田喜八郎が写本のみを公開し、原本を公開しなかったため、『東日流外三郡誌』真作説について、「現段階では仮説に過ぎない」とは断っていた。それでも和田喜八郎が原本を公開しないために挙げた理由を鵜呑みにして、むしろ和田喜八郎を非難する側に問題があるかのような主張を行っていた。

古田武彦は和田喜八郎の死去に際して「古田史学会報」(1999年10月11日 No.34)において「和田喜八郎氏に捧ぐ」を掲載している。

2007年、古田武彦は和田喜八郎の遺品の中から東日流外三郡誌の「寛政原本」を発見したとして、これを公開した。しかし公開されたその文書は、以前発表された「和田喜八郎の祖父である末吉による写本」と筆跡が一致していたとされる。この発見については、古代史専門誌『邪馬台国』が批判した以外、学会や一般マスコミで取り上げられることは全くなかった。

門外漢の私は、古田の講演を聞いただけで内容の一部しかしらないが、安倍宗任の東北と宗像の往復文書などは真と思う。また福沢諭吉が盗用したとされる、「天は人の上に人を造らず、云々」は面白い話と感じている。





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